不動産を売却する際、「訳あり物件」や「事故物件」といった言葉を耳にすることがあります。特に、事故物件を所有している場合、売却が難しいのではないかと不安に思う方も多いでしょう。
以下では、訳あり物件と事故物件の違い、それぞれの売却時に必要な告知義務について詳しく解説します。
訳あり物件とは?
訳あり物件とは、一般的な物件と比べて何らかの事情により市場価値が下がる物件のことを指します。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 心理的瑕疵(かし):過去に事件や事故、
自死などが発生した物件 - 物理的瑕疵:建物の構造的な問題(雨漏り、
シロアリ被害、耐震基準未達など) - 法律的瑕疵:建築基準法や用途地域の制限に
より、建て替えや増改築が難しい物件 - 環境的瑕疵:周辺環境に問題がある(騒音、
悪臭、暴力団の事務所が近い など)
訳あり物件は通常の市場価格よりも低く評価される傾向がありますが、適切な売却方法を取ればスムーズに取引できる可能性もあります。
事故物件とは?
事故物件とは、過去に死亡事故や事件が発生したことにより、購入希望者が心理的抵抗を感じる可能性がある物件のことを指します。代表的な事故物件の事例には、以下のようなものがあります。
- 殺人事件が発生した物件
- 自死があった物件
- 孤独死が発生し、発見までに時間がかかった
物件 - 火災やガス爆発による死亡事故があった物件
事故物件は「心理的瑕疵」に分類され、売却時には買主に対して告知義務が生じるケースがあります。
訳あり物件と
事故物件の違い
訳あり物件と事故物件は、しばしば混同されがちですが、明確な違いがあります。
事故物件は「訳あり物件」の一種であり、事故物件以外にもさまざまな種類の訳あり物件が存在するということになります。
| 区分 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 訳あり物件 | 一般的な物件と比較して市場価値が 低下する物件の総称 |
事故物件、法的制限のある物件、 騒音や悪臭のある物件など |
| 事故物件 | 訳あり物件の一種で、過去に死亡事故や 事件が発生した物件 |
自死や殺人事件があった物件 |
訳あり物件の売却時に
おける告知義務
訳あり物件の売却時には、一定の条件下で買主に対する告知義務が発生します。
特に、心理的瑕疵のある事故物件に関しては、売主が適切に情報を開示しなかった場合、契約解除や損害賠償請求のリスクが生じる可能性があります。
事故物件の告知義務
国土交通省のガイドラインによると、事故物件の告知義務については以下のような基準が設けられています。
- 売主または不動産業者は、購入希望者に対して、過去に発生した事件や事故の内容を説明する義務がある
- ただし、死亡の原因や状況により告知義務の
範囲が異なる - 賃貸物件においては、一定期間(目安として約3年)を経過した場合、告知義務が免除される可能性がある
「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」[PDF]
(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf)
例えば、建物内で自然死があった場合は告知義務が生じないケースもありますが、殺人事件や自死が発生した場合は告知が必要とされています。
物理的・法律的・環境的瑕疵
の告知義務
心理的瑕疵以外の訳あり物件についても、売主は重要な情報を買主に伝える必要があります。
- 物理的瑕疵(建物の欠陥など) → 必ず告知
義務がある - 法律的瑕疵(再建築不可など) → 必ず告知
義務がある - 環境的瑕疵(近隣トラブルなど) → 影響が
大きい場合は告知義務が生じる
特に建物の欠陥や法的制限がある場合は、事前に専門家に相談し、適切な方法で情報を開示することが重要です。
訳あり物件・事故物件を
スムーズに売却する方法
訳あり物件や事故物件を売却する際には、いくつかのポイントを押さえておくとスムーズに取引を進めることができます。
専門業者に依頼する
事故物件の売却を専門とする不動産会社に依頼すれば、適正価格での査定や適切な売却方法のアドバイスを受けることができます。
買取業者を利用する
時間をかけずに早く売却したい場合は、不動産買取業者を利用するのも一つの手です。
市場価格より低くなることが多いですが、確実に売却できるメリットがあります。
リフォームや
リノベーションを行う
建物の状態を改善することで、購入希望者の印象を良くし、売却しやすくなる可能性があります。
心理的瑕疵を受け入れる
買主を探す
訳あり物件に理解のある投資家や購入希望者にターゲットを絞ることで、売却成功の可能性が高まります。
まとめ
訳あり物件と事故物件には明確な違いがあり、売却時にはそれぞれの特性に応じた告知義務が発生します。
特に事故物件に関しては、心理的瑕疵の有無を適切に説明することが重要です。適切な売却方法を選択することで、スムーズに取引を進めることが可能となるでしょう。

